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GLOBALFOUNDRIESとTSMCをどう使うのか

日付:2010-12-27 17:39:51    アクセス回数:1760次

4GAMERにより半導体は,プロセス技術の進化とともにその性能を大幅に向上させてきた。とくにGPUは,45nmや32nmプロセスといった,半導体業界におけるメジャープロセス――世代ごとに面積が半分になる縮小率になっており,半導体製造装置なども,このメジャープロセス向けに設計されている――の中間世代であり,例えば65nm世代における55nm,45nm世代における40nmといった「ハーフノード」を利用することで,ほぼ毎年,ストリーミングプロセッサ(=シェーダプロセッサ)の数を増やして性能向上を図ったり,省電力化を推し進めてきたりしたというのは,読者もご存じのとおりだ。

 しかし,45nmプロセス世代を境として,かつてPentium 4~D時代にIntelを苦しめたリーク電流の問題が再び深刻化,新素材の採用や製造工程の最適化などが必要となり,半導体プロセスの進化はややスローダウンしている。AMDとNVIDIAが,直近のGPU製品で,2世代続けてTSMCの40nmプロセスを採用せざるを得なかったのも,ファウンドリ(Foundry,半導体製造廠)におけるプロセス技術移行のペースが鈍化しているためだ。
 今後も,プロセス技術の進化は2年~2年半か,それ以上のサイクルになると見られており,ファブレス半導体メーカーは,半導体製造戦略を見直さざるを得ない状況に置かれている。

 それは,GLOBALFOUNDRIESの分離によってファブレスメーカーに戻り,CPUに最適化されたプロセスを持つGLOBALFOUNDRIESでCPUを,単体GPUの製造では圧倒的なシェアを持つTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)でGPUをと,ファウンドリを使い分けているAMDにとっても同様である。というのも,GLOBALFOUNDRIESとTSMCがいずれも,32nmプロセス世代への移行で苦戦を強いられているからだ。

 その背景にあるのは,「半導体製造プロセスの微細化に伴って,これまでトランジスタのゲート絶縁膜に採用されてきた二酸化ケイ素(SiO2)では,膜の厚さが薄くなりすぎてリーク電流が増えてしまう」という問題。そこでGLOBALFOUNDRIESとTSMCの両社は,32nmプロセス世代から,半導体ゲート電極の絶縁膜に,高誘電率かつ十分な厚さを実現できるHigh-k素材を採用すべく,開発を進めてきた。当初,2010年中に32nm/28nmプロセスへの移行を計画していた両社が,スケジュールの大幅な後ろ倒しを余儀なくされたのは,このHigh-kメタルゲートの採用に手こずったからだ。

 ただ,45nmプロセスでHigh-kメタルゲートを採用済みのIntelに対抗するため,プロセスの進化を加速させる必要もある。そこでGLOBALFOUNDRIESは,当初計画していた32nmバルクプロセスなどの開発をキャンセルし,その先のハーフノード世代となる28nmプロセスの開発に注力。さらに,次のメジャープロセスとなる22nmプロセスもスキップし,ハーフノードたる20nmプロセスを採用することで,Intelとの差を詰める意向だ。そして,TSMCも,28nmプロセス以降で,GLOBALFOUNDRIESと同じ“ハーフノード戦略”を採ることを明らかにしている。

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