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プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏も感涙!「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」完成記念発表会の模様をレポート

日付:2013-08-29 12:44:25    アクセス回数:1169次

2013年8月27日に正式サービスがスタートした,スクウェア・エニックスのMMORPG「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」(PC / PS4 / PS3 以下,新生FFXIV)。それを記念して,同日27日,東京・渋谷にて完成記念発表会が開催された。

 この発表会は二部構成で行われ,第一部がメディア向けの発表会,第二部が一般ユーザー向けのトークショーとなっていた。少々時間が経ってしまったが,本稿では第一部/第二部のレポートを,まとめて紹介していこう。

多くのパートナーに支えられ,ついに正式サービス開始
新生FFXIVは「ファイナルファンタジーのテーマパークを目指す」
 第一部ではまず,スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長の松田洋祐氏が登壇した。松田氏は新生FFXIVが無事正式サービスを迎えたことに「大変感慨深い」とコメント。10年以上の歴史がある「ファイナルファンタジーXI」に続き,新生FFXIVも大きく成長してくれることを確信し,「この新しい『新生エオルゼア』の世界を,ぜひ楽しんでいただければと思います」と語った。

続いて登壇したのは,ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアのプレジデント 河野 弘氏だ。河野氏は,プロデューサーの吉田直樹氏をはじめとする開発チームの熱意に応える形で行ったアーリーアクセスの結果が,非常に良好だったことを報告。PS Storeでの予約実績が過去最高になるなど,ユーザーの熱意にも敬意を表し,今後,新生FFXIVの展開を全面的にバックアップすることを約束した。
 また,後日リリース予定のPlayStation 4版について,「PS3版からいち早くゲームを楽しんだ方が決して後悔しないような“何らかの仕組み”を,スクウェア・エニックスと共に用意したい」とも語っていた。

続いては,日本マイクロソフト業務執行役員の金古 毅氏が登壇。2013年4月に開催されたニコニコ超会議2に出展した際に,新生FFXIVに対して大きな手応えを感じたという金古氏。今後もパートナーと共に,新生FFXIV推奨PCの提供や,自作PCユーザーへの支援などを行っていき,「お客様が安心して新生FFXIVを楽しめる環境作りを整えていきます」とコメントした。

来賓として最後に登壇したのは,インテル取締役副社長 宗像義恵氏だ。「ゲームにおけるユーザー体験の向上」を目指すべく,スクウェア・エニックスに惜しみない技術協力をしてきたと話す宗像氏。とくに重要視したのは,同社が提供するUltrabookで新生FFXIVを楽しむための最適化作業とのことだ。氏は「これからもワクワクするような体験や感動を味わっていただくために,スクウェア・エニックスとの協力関係を深めていきたい」と語り,挨拶を締めくくった。

次に登場したのは,新生FFXIVのプロデューサー兼ディレクター,吉田直樹氏。氏は「新生FFXIVの総指揮を引き継いで約3年,新生FFXIVの制作発表から約2年を経て,ようやくこの日を迎えられ,本当に嬉しく思います」と感慨深げに挨拶し,「新生FFXIVは,ファイナルファンタジーシリーズの正統な最新作であり,オンライン専用のMMORPGという野心作でありながら,最高のゲーム体験を用意させていただきました」と力強くアピール。そして「プレイヤーのみなさんと共にファイナルファンタジーというテーマパークを目指します」と語り,正式サービスの開始をゴールだとは考えず,この先5年,10年……と,末永く運営を続けることを約束した。

その後,吉田氏が会場からの質問に応えるコーナーが設けられたので,以下にその内容をまとめておこう。


質問1:
 新生FFXIVは,一般的なゲームファンにとってややハードルが高いオンライン専用RPGですが,吉田さんが考えるオンラインRPGの魅力は何でしょうか。

吉田氏:
 オンラインゲームは,僕らが作りあげたエオルゼアのような世界を,世界中の人々と共有しながら遊べるのが最大の魅力だと思います。確かにハードルが高いと感じられるかもしれませんが,この新生FFXIVに関しては,「いつものファイナルファンタジーのつもりでプレイしてください」と答えています。とくにゲームの序盤は,コミュニケーションをとらずに,いつものFFを1人で遊ぶ感覚でプレイできるようになっています。
 パーティを組む際も,「コンテンツファインダー」という便利なマッチングシステムを用意しています。今回は若い層や,オンラインゲーム未経験者でも,オンラインゲームの素晴らしさを徐々に味わえるようになっていますので,ぜひ遊んでいただければと思います。

質問2:
 これまでのβテストやアーリーアクセスなどを通じて得られた,手応えやプレイヤーからの反応についてお聞かせください。

吉田氏:
 一番分かりやすいのは数字でしょうか。βテストフェーズ3の段階で100万人を超えるご応募をいただき,大部分の方にプレイをしていただきました。キャラクターデータが削除されてしまうクローズドβテストでありながら,全世界で50万人以上の方が,プレイ時間30時間を超えるほど熱中してくれたんです。
 それを踏まえたβテストフェーズ4では,我々が見込んだプレイヤー数を超え,サーバーの増強をしなければならないほどの大盛況となりました。そしてその後のアーリーアクセス以降は,40万人を超える方々が全世界でプレイされています。2回目のローンチという世界でも例を見ないゲームですが,今のところは好調な滑り出しという手応えを感じています。

質問3:
 本作の再開発に至った経緯とその狙いについて,あらためてお聞かせください。

吉田氏:
 旧FFXIVは,世界中から期待されたオンラインゲームであるにもかかわらず,多くのプレイヤーを失望させてしまい,ブランドにも大きな傷が付きました。
 2010年12月3日に僕が全権を引き継ぎ,調査をしてみると,プレイヤー達のゲーム体験が,“ファイナルファンタジー”と呼べる品質に達していなかったのが,失敗の一番の原因だったと分かりました。これではいけないと考え,世界でも類を見ない同名タイトルの作り直しを決意し,旧FFXIVのアップデートを続けていく裏で,新しいFFXIVを作っていくことを決断しました。
 なぜ「FFXV」ではなく「FFXIV」のまま開発を続行したのかといえば,26年の歴史を持つ看板シリーズの最新作を中止し,「FFXV」を開発してしまえば,ファンの信頼を大きく失ってしまうからです。我々は絶対にギブアップをせず,もう一度プレイヤーの信頼を取り戻すために頑張り,少しずつではありますが,信頼を取り戻してきて今に至ります。
 これまでやってきたことが,この先のファイナルファンタジーの未来につながり,結果的に近道になるのではないかと,僕は信じています。


開発コアメンバーがプレイヤーからの質問に答えた
「FFXIV出張プロデューサーレターLIVE」番外編
一般ユーザーを招いての第二部では,生配信番組「FFXIV出張プロデューサーレターLIVE」の番外編として,吉田氏をホスト役としたトークショーが行われた。なお進行は,同番組でもおなじみの「Morbol」こと,スクウェア・エニックス コミュニティチームの室内俊夫氏が務め,ユーザーからの質問に応じて,開発チームのコアメンバーも登場した。

 最初の話題は「ゲームデザインとバトル部門」。ここでは,リードUIアーティストの皆川裕史氏と,リードゲームデザイナーの河本信昭氏がステージに登場した。
 「FFXIVを作り直すことになったとき,最初に思ったことは何ですか?」という問いに,皆川氏は「ぶっちゃけ,大変なことになった」と最初の印象を語る。失った信頼を回復することの大変さはもちろんのこと,吉田氏に提示されたスケジュールが非常にタイトで,頭を抱えたという。

「とくにこの時期は苦しかった! というのはいつで,それを乗り越えたときの心境は?」という質問には,「2011年6月頃が精神的にしんどかったです」と吉田氏。新体制になったものの,大型アップデートもなく,15人だった最大パーティメンバー数を8人に減らし,使い勝手がよすぎたケアルガの調整をしたところ,「お前の最初の大きなテコ入れがコレか!」と叩かれまくったたことが,とくに苦しかったそうだ。

 河本氏には,「あと3か月時間を使えるとしたら,何を調整したいか?」という質問が投げられた。河本氏はこの数か月,ずっとバランス調整とバグ修正を行っていたそうで,「3か月あるなら,僕は新しいコンテンツを作りたい」と即答。とはいえ本作はMMORPGなので,発売後もしばらくは調整付けの日々を送ることになるだろうとも語っていた。
 なお河本氏は,旧FFXIVの頃から運営部分にも携わっているそうで,今後も彼がエオルゼアの生活を支えるだろうと,吉田氏はその功績を大いに評価していた。
続く「テクニカル部門」で登場したのは,テクニカルディレクターの橋本善久氏。「最近橋本さんがあまり表舞台に出ていない気がしますが,お元気ですか?」という微妙な質問に対し,「そう聞かれると,表舞台から下りたみたいじゃないですか」と思わず苦笑した橋本氏は,FFXIVを裏から支えるCTO(最高技術責任者)として活躍中だ。
 なお橋本氏は,同様に本作の技術面を支えるメインプログラマーの春日秀之氏の名前を挙げ,「本当はこの場所に来るはずでしたが,それをがんとして断り,リリース直後のゲームサーバの番人として,今もがんばっています」と来場者に伝えた。

「プログラマーは“魔法使い”と表現されることがあるが,本当に魔法を使わないと無理,と感じた無茶振りエピソードは?」との問いには,「自分達も覚悟はしていたので,無茶振りではないんですが,新生FFXIVという試み自体が相当無茶でしたよね」と,正式サービスを迎えた安堵もあってか,ホッとした表情で答えた。そして「あえて言うなら,対応PCの幅を大きく広げたことや,PS3の性能の限界まで引き出せたことは,ある意味魔法でした」として,番組を見ている“魔法使い”達に「ご苦労様でした」とメッセージを贈っていた。

「デザイン&アート部門」では,アシスタントディレクターの高井 浩氏と,リードデザイナーの鈴木健夫氏が登場。「装備品やエフェクト,モーションなどへのこだわりや,気を付けたことを教えてください」という質問が,鈴木氏に質問が投げられた。「新生FFXIVにおいては,“ゲームデザインに連動したデザイン”が吉田氏から徹底されている」とのことで,派手さやケレン味がある,FFらしいデザインを常に意識しているそうだ。

「エフェクトはどうやって作るの?」という質問には,「とくに絵的なものは用意せず,プランナーからのオーダーをもとに,VFXの担当者が作ります」と高井氏が答え,「現実に存在しないものから作るという,実は一番の職人芸」と吉田氏が続けた。エフェクトは,色や大きさなどをすべて担当者が決めなくてはならないのだが,完成後にプランナーに見せても,「イメージと違う」と言われれば作り直しを余儀なくされる,非常に大変な作業とのことだ。

 「キャラクターの身長に“cm”表記が使われるようになったが,バストをカップ別で数字表記したりはしませんか?」という,新生FFXIVの新仕様についての質問(要望!?)については,2人とも苦笑い。身長の表記はβ版での要望により追加したそうだが,キャラクターの身長が分かってしまい,ガッカリされるケースもあったとのことだ。バストサイズについては「ご想像にお任せしたいと思います(笑)」だそうである。

「シナリオ&クエスト部門」で登場したのは,アシスタントディレクターの新納一哉氏と,メインシナリオライターの前廣和豊氏。「ネタバレにならない程度に,イチオシのクエストを教えてください」という質問に,新納氏は「格闘士のクラスクエストですね」と返答。「お爺ちゃん話」をやりたくて発注したシナリオの完成度が高く,それを見たスタッフが,バトルやエフェクト,SEに凝ってくれたので,全体的にかなりいいクエストになったそうだ。吉田氏いわく,プロット完成までにかなりのリテイクを繰り返したそうで,その分気合の入った内容に仕上がったとのこと。

続いては「我々はアラミゴを奪還できるのですか?」という直球の質問。これについて「エオルゼアの民にとって,アラミゴの奪還は悲願です。だからいつかは奪還できるようにしたいですね」と前廣氏が発言すると,会場からも驚きの声が上がっていた。ただし,もし奪還できるとしても,相当厳しい戦いになるのではないかと前廣氏は付け加えていた。

 次に出されたのは「新生FFXIVに登場するキャラクターで誰が好き?」という質問。これに対し新納氏は,イシュガルド四大名家のオルシュファンが気に入っていると答えた。新納氏によると,FFXIVには「ピーキーなキャラクター」がたくさん登場するそうなので,プレイヤーは楽しみにしていてほしい。

そして「サウンド部門」では,サウンドディレクターの祖堅正慶氏が登場。「これまで100曲以上作曲してきた中で,最もお気に入りの曲は?」という質問に対して祖堅氏は,昨年のFF25周年イベントで初お披露目した「Limit Break! トレーラー」の曲を挙げた。作曲した時期が,FFXIVが旧から新生へ切り替わるタイミングだったらしく,開発チームを鼓舞する意味を込めて作った曲なのだそうだ。吉田氏は「いずれベンチマークソフトに使われるだろうから,新生FFXIVに相応しい曲を」というオーダーを出したが,祖堅氏は「帰宅中にスマホで録音した50曲ほどの鼻歌の中から選抜した」という裏話を明かし,会場を沸かせていた。

「吉田Pに秘密で仕込んだネタやギミックはありませんか?」との質問に対しては,タイタンのBGMの制作時,まだ詞が入っていなかった仮歌に,英語の放送禁止用語が頻出する歌詞を入れてテストしたという話を祖堅氏が披露。アメリカのスタッフからは「発売できなくなるよ!」というメールが届いたものの,吉田氏からは「いやー,タイタンいいわ!」とべた褒めされたことを暴露し,質問コーナーを締めくくった。

最後に開発コアメンバー全員がステージに上がり,来場者と視聴者に向けて挨拶した。吉田氏は,感極まって言葉に詰まりながらも,「発売前のアーリーアクセスでは,緊急メンテナンスで貴重な時間を使ってしまい申し訳ありません。先の長い旅の中で,それを挽回できたらと思います。

 旧FFXIVを引き継いでもうすぐ3年,『もう一度作り直す』とスタッフ全員に告げたのが,発表2日前の(2010年の)12月1日でした。そのとき,祖堅がガッツポーズをしていたのがすごく印象的だったのですが,プレイヤーの皆さんが思うように,“本当にどうにかなるの?”という雰囲気もありました。世界中のプレイヤーのみなさんと,ここにいるコアスタッフ,そしてここに来られない何百人というのスタッフのおかげで,今日という日を迎えることができました。

 僕らにとってやっと今日,新生FFXIVの第一歩が切れましたので,正直感極まっているヒマはなく,次のパッチやエクスパンションに向けて走り出しています。

 我々スクウェア・エニックスが一丸となって,ファイナルファンタジーの名に恥じないゲームができたと自負しています。この「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」は,皆さんと一緒に作ってきたファイナルファンタジーなので,この初心を忘れず,皆さんと一緒に5年,10年と作り続けたいと思っています。これからも,どうぞよろしくお願いします!」と,深々と頭を下げ,発表会を締めくくった。

 

 

 

>>http://www.4gamer.net/games/199/G019924/20130828098/

 

 

 

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